記事の内容
使えない「埋蔵電力」
2011/05/16 06:53 電力供給量に関して、興味深い記事を紹介しよう。いずれも日経ヴェリタス 2011年5月15日付の記事で、日本経済新聞 電子版で配信されている(購読には無料会員登録が必要)(*1,*2)。この記事からは、今の設備でも、仕組みを変えれば、原発を停止しても、停電などまったく必要ない という状況が見えてくる。石油や天然ガスを消費して発電することは違いがないが、現状の設備で供給量が足りるのであれば、あせらず順次、再生可能な発電を、進めて行けばよいという道筋も見えてくるだろう。
全国の企業が持つ自家発電合計 6,000万kW(東電発電合計に匹敵)
"大手電力会社や新規参入の電力事業者が余剰電力を融通しあう「電気のマーケット」で、東京エリアの取引が停止したままという異常事態が9週間も続いている。震災で被害を受けた東京電力が、自社の電力供給が不安定なことを理由に、取引所で約定した電力の送電受託(託送)を再開しないためだ。"
"電力会社が送電網というインフラを一手に握る「弊害」"
"今回の電力不足問題は、発送配電の一体経営に基づく地域別独占という電力供給のゆがみを改めて浮き彫りにした。"
東電管内 およそ75万kW売電可能
鹿島北共同発電 65万kW(売電余力分)
住友化学 0.5万kW(売電余力分)
日本製紙グループ 8-10万kW(売電余力分)
昭和電工 0.2万kW(自家消費)
住友金属工業 47.5万kW(自家消費+)
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(1) 使えない「埋蔵電力」、東電の供給量に匹敵
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819488E3E3E2E39C8DE3E0E2E7E0E2E3E399E3E6EAE2E2
(引用)
2011/5/15 16:08日本経済新聞 電子版
「電力不足」の拡大が心配される一方で、こんな数字が注目されている。全国の企業が持つ自家発電を足し合わせると、発電能力は6000万キロワット。東京電力の供給量に匹敵する巨大な「埋蔵電力」の存在だ。電力は本当に足りないのか、使えないだけなのか、だとすれば何が問題なのか──。
東京都港区の雑居ビル4階にある日本卸電力取引所(JEPX)。大手電力会社や新規参入の電力事業者が余剰電力を融通しあう「電気のマーケット」で、東京エリアの取引が停止したままという異常事態が9週間も続いている。震災で被害を受けた東京電力が、自社の電力供給が不安定なことを理由に、取引所で約定した電力の送電受託(託送)を再開しないためだ。
2005年から始まった取引には、まとまった規模の自家発電設備を持つ石油化学や鉄鋼メーカーなど約50社が参加。翌日に使う電力(スポット)などを売買している。2010年度の約定電力量は約55億キロワット時。国内の電力需要に占めるシェアは約1%と小さいが、価格は需給を敏感に反映する。
取引停止中も東電は、独自に取り決めている事業者に対しては電力供給しており、そうした顧客については直接の不都合は生じていない。問題は、東電以外の事業者どうしで約定した取引だ。東京エリアでは東電の送電網を使わないと電力を送れない。電力の「売り手」と「買い手」はいても、それを仲介する「運び手」が機能しない状況ということだ。計画停電の実施時はやむを得ない面もあったが、計画停電が終了した今も再開されないことに参加者の不満はくすぶる。
「おたくから買えば停電を避けられるのか」──。PPS(特定規模電気事業者)大手のダイヤモンドパワー(東京・中央)には3月の計画停電のさなか、メーカーやオフィスビルからの問い合わせが殺到した。PPSは電力各社や工場の自家発電設備などから電気を仕入れて、工場やスーパーなどに売るいわば電力の小売業者だ。
東電分が足りなくなったらPPSから買えばいいと誰もが考えたわけだが、残念ながら答えは「ノー」。電力会社が送電網というインフラを一手に握る「弊害」がここにも表れた。
計画停電など非常時のPPSの扱いは、家庭など一般ユーザーと同じ。これでは手持ちの電力を自由に販売する経路を絶たれた小売りの出る幕はなくなる。PPSが電力会社に支払う送電線の賃借料は海外に比べて割高との指摘も多い。賃借料はPPSが顧客に販売する電力の料金の約2割を占める。
NTTグループなどが出資するエネット(東京・港)は、200万キロワット規模を供給するPPS最大手。電力自由化の推進を主張するNTT出身の武井務社長は「送電網を電力会社が握ったままでは独占時代と変わらない」と指摘する。
1995年から段階的に進められてきた電力自由化の動きの中、2000年の自由化第2弾でPPSは生まれた。だが直近も届け出社数は50社に届かず、オフィスなどに実際に電力を供給する事業者は30社に満たない。PPSの電力供給全体に占める割合は1%未満だ。
02年、今度は当時の村田成二・経済産業事務次官が旗を振り、電気事業法改正案に、電力会社が電力サービスを上流から下流まで丸ごと担う仕組みをガラリと変える「発送配電分離」を盛り込む段取りを整えた。
だが、この時は東電のトラブル隠し事件で福島などの原発が一時停止に追い込まれる事態になり、電力供給を維持しようとした東電幹部が自民党の電力族に駆け込んで、議論を押し戻した経緯がある。自由化の手本とされていた米国で01年にカリフォルニア州大停電が起き、エネルギー大手エンロンが巨額の不正取引で破綻したことも逆風になった。07年の改革も小粒にとどまり、今にいたっている。
今回の電力不足問題は、発送配電の一体経営に基づく地域別独占という電力供給のゆがみを改めて浮き彫りにした。いま電力不足対策づくりに追われる経産省の中堅幹部はこう話す。「賠償が一段落したら、次は電力の供給体制の見直し。電力各社の『私道』である送配電網を、もっと自由に行き来できる『公道』に変えないと……」
[日経ヴェリタス 2011年5月15日付]
(引用終)
(2) 「埋蔵電力」東電管内で550万世帯分 緊急時も自前主義
http://www.nikkei.com/news/headline/related-article/g=96958A9C93819488E3E3E2E3968DE3E3E2E7E0E2E3E399E3E6EBE2E2;bm=96958A9C93819488E3E3E2E39C8DE3E0E2E7E0E2E3E399E3E6EAE2E2
(引用)
2011/5/15 16:08日本経済新聞 電子版
「埋蔵電力」──。鉄鋼や石油化学といった大量の電力を使うメーカーの事業所などは、まとまった規模の自家発電設備を持つ。経済産業省のまとめによると、そうした企業の自家発電能力を足し合わせると全国で6000万キロワットを超す。これは東京電力の供給能力に肩を並べる規模。その東電の管内だけでも「埋蔵電力」は一般家庭の約550万世帯分に相当する1639万キロワットに上り、5620万キロワットに落ち込んでいる東電の供給力と合わせれば、夏場のピークの最大需要(6149万キロワット)を余裕でまかなえるボリュームになる。
中でも鉄鋼や化学など主な素材メーカーなどの大規模自家発電だけで75万キロワットある。
三菱化学は4割弱を出資する鹿島北共同発電(茨城県)を通じて、20万キロワットの電力を東電に供給する。出力65万キロワットの発電設備はフル稼働なら余剰電力が得られる。重油など燃料を供給する鹿島石油の製油所で津波被害の復旧が終わる7月にも売電を始める方針という。
千葉県市原市に出力14万キロワットの発電設備を持つ住友化学は、化学品製造に使う蒸気を発電タービンに回して出力を引き上げる緊急措置を検討。計算上は5000キロワットの余剰電力を販売できる。また三井化学は7月から市原コンビナート(千葉県市原市)の発電設備の稼働率を高め、東電から要請があれば1万キロワットを売電する方針だ。
日本製紙グループ本社は岩沼工場(宮城県岩沼市)や勿来工場(福島県いわき市)など5工場の自家発電設備で発電した電力を東電と東北電力へ供給を検討。売電余力は合計8万〜10万キロワットになる見通しだ。
昭和電工は川崎事業所(川崎市)の休止発電設備を5月から再稼働させ、東電からの購入を毎時2000キロワット分減らす。これも形を変えた東電への電力「供給」といえる。
住友金属工業は鹿島製鉄所(茨城県鹿嶋市)に出力47万5000キロワットの売電専用設備を持つ。今は深夜7時間の稼働率を75%に抑えているが、東電とは需要次第で終日フル稼働させることで合意した。東燃ゼネラル石油の川崎工場(川崎市)やJX日鉱日石エネルギーの根岸製油所(横浜市)は3月中旬以降、自家消費をメーンにしてきた自家発電設備の稼働率を引き上げ、東電への売電を増やしている。
ただ、「埋蔵電源」が豊富にあるだけでは問題は簡単には解決しない。東電は外部からの買電は高くつく、電力品質が安定しないなどを理由に挙げ、「異業種からの電力購入は最小限に抑える」(幹部)方針。発送電分離の動きにつながることを警戒しているのだ。今のような緊急時ですら自前主義にこだわる姿勢が、問題をさらに複雑にしている。
[日経ヴェリタス 2011年5月15日付]
(引用終)
(追記2011/07/16)
なんと原発50基分!埋蔵電力活用で「脱原発」できる
http://www.asyura2.com/11/lunchbreak48/msg/734.html
http://netallica.yahoo.co.jp/news/199198
(引用)
●「火力」と「水力」だけでも十分に賄える
54基すべての原発がストップする――。大マスコミが大騒ぎだ。
13カ月ごとの定期検査を義務付けられている原発は、現在35基が停止し、稼働しているのは19基だけ。経産省は、九州電力の「玄海原発」を突破口に、四国電力の「伊方原発」など定期検査を終える原発を次々に再稼働させる方針だった。
ところが、九州電力が「玄海原発」の再稼働容認を撤回。四国電力も「伊方原発」の運転再開を断念したと発表した。
このままでは稼働中の19基も次々に定期検査に入り、来年春にはすべての原発が止まる。その結果、深刻な「電力不足」に陥ると大手メディアが騒いでいるわけだ。
しかし、原発が止まったら本当に電力は足りなくなるのか。「脱原発」は不可能なのか。
ガ然、注目されているのが「みんなの党」の渡辺喜美代表が国会で指摘した「埋蔵電力」の活用だ。日本中の企業の自家発電設備をフル活用すれば電力不足を補えるという。
「企業の自家発電能力は、約6000万キロワットもあります。東電の供給能力約6000万キロワット、原発40〜50基に匹敵する規模です。そこで自家発電の余剰分である『埋蔵電力』を活用すべきだと国会で提案したのです。ただ、政府は余剰分がどのくらいか把握していないという答えです」(渡辺事務所)
自家発電した電力を、それなりの値段で買ってもらえるとなれば、企業は積極的に売電するはずだ。新規参入する企業も出てくるだろう。
そもそも、原発がストップしても電力不足に陥らないことは専門家の常識だ。東京電力は03年に、原発事故や不祥事で全17基を停止しているが、停電は起きていない。
元慶大助教授の藤田祐幸氏の調査結果によれば、1965年以降、その年の最大電力であっても、「火力」と「水力」の発電能力だけで十分に賄え、発電能力を超えた需要は一度もない。原発を必要としないことが分かっている。
さらに京大原子炉実験所助教の小出裕章氏も4月に行った講演でこんな資料を公開している。
「……発電所の設備の能力で見ると、原子力は全体の18%しかありません。その原子力が発電量では28%になっているのは、原子力発電所の設備利用率だけを上げ、火力発電所のほとんどを停止させているからです。(略)それほど日本では発電所は余ってしまっていて、年間の平均設備使用率は5割にもなりません」
電力はいくらでも生み出せるのだ。大手メディアはなぜ大騒ぎしているのか。
(日刊ゲンダイ2011年7月9日掲載)
2011/7/13 10:00 更新
(引用終)
(追記終)
(追記2011/07/31)
自家発電の余剰電力 128万kW
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110730/k10014573171000.html
(引用)
7月30日 12時13分
全国的に電力不足の懸念が広がるなかで、不足を補う電源として期待される自家発電設備について、経済産業省が行った緊急調査の結果、電力会社に供給できる余った電力は全国で128万キロワットにとどまる見通しであることが分かりました。
この調査は、菅総理大臣の指示で、全国におよそ3100ある1000キロワット以上の発電能力を持つ自家発電の設備の活用状況について、経済産業省が今月11日から15日にかけて緊急に調査を行ったものです。それによりますと、自家発電の発電能力は、全国で合わせて5300万キロワット余りありましたが、そのほとんどは、自社の工場で利用されていたり、すでに電力会社に売られたりしており、余った電力は全国で128万キロワットにとどまると見込まれるということです。一方、余った電力はあっても、電力会社への供給はできないとする回答が174万キロワット分あり、その理由として、自家発電の燃料のコストが高く採算が合わず、実際には発電していなかったり、電気を電力会社の送電線に送る設備が整っていないことなどを挙げているということです。こうしたことから、経済産業省は、燃料費の助成や送電設備の整備に補助金を出すなどして、自家発電設備のより積極的な活用を目指し、電力不足の解消に役立てたいとしています。
(引用終)
(追記終)
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